はじめに

当研究室では、ポスドク(博士研究員)または博士課程学生の参加を歓迎します。 ご興味のある方は、まずはEメールで福島にご連絡ください。その後、必要に応じてオンライン面談や研究室見学へとご案内します。

研究テーマの選び方

新規メンバーが取り組む研究テーマは、それぞれの興味や専門性を勘案しつつ候補者と福島で相談しながら選びます。ラボ全体の運営方針や雇用財源となる研究費による制約もありますが、可能な限り選択の自由度は高く保ちたいと考えています。

目安として、材料・技術・生命現象のどれか一つ以上を福島の研究と重なるように設定できるとうまく進めやすいと思います。とはいえ、新しいことを始めるのは常にウェルカムです。特にポスドクとしてご参加いただく場合は、それまでに培った経験を活かしつつ、研究室に新しい風を吹き込んでほしいと思っています。

博士課程学生として参加する

国立遺伝学研究所はおもに研究機関として機能していますが、総合研究大学院大学と連携して大学院機能を備えています。遺伝研では、修士号を有する方向けの3年間の博士課程と、修士号を持たない方向けの5年一貫の博士課程が提供されています。修士号のみに特化したコースは設けられていないことにご留意ください。

遺伝研・総研大の双方で豊富な経済支援を利用可能です。

博士研究員(ポスドク)として参加する

研究室で進行中のプロジェクトに紐づくポスドクポジションは、遺伝研の人材募集ページJREC-INtayo、そして関連研究分野のメーリングリスト(nazunaEVOLVE2)を通じて応募をつのります。福島へ直接ご連絡いただければ、公開前のポジションについて情報共有できる場合もあります。

新しい研究テーマを持ち込みたい場合は特に、日本学術振興会特別研究員国立遺伝学研究所博士研究員などのフェローシップ獲得を第一選択として準備していただくことになります。申請書の作成・添削を支援いたします。

候補者と福島の興味が一致する場合は、新しい研究テーマであっても福島側で研究費を申請することも可能です。しかし、準備開始から採択まで、通常一年以上の時間を要することにご留意ください。

過去のポスドク募集案内の一部:

Q & A

興味のある生命現象が進化とあまり関係なさそうなのですが。

すべての現生生物が40億年近くに達する進化の履歴をもっています。どの生物のどんな生命現象を扱うとしても、進化生物学の視座を完全に排して研究をする方が難しいものです。興味の対象を進化の光に照らすと何が分かるか、一緒に考えていきましょう。

プログラミングはできないとダメですか?

自分でプログラムを書けると研究の幅がとても広がりますので、RやPythonなど何らかのプログラミング言語の習得を推奨しています。実験と計算を両立するのは、理想的な研究アプローチの一つです。しかし、必須ではありません。「計算機は苦手だけど研究材料を誰よりもうまく扱える」といった方に実験面を強力に進めていただいて、計算機が必要な場面では福島を含む他のメンバーがサポートするような研究の進め方もありうると思います。実際、そのような体制で進めている研究プロジェクトも複数あります(例:Montero et al., unpublished; Graus et al., unpublished)。

次世代シークエンサーを使わないとダメですか?

大量塩基配列読み取り装置、いわゆる次世代シークエンサーは、近年では生命現象の様々な側面を捉える万能機の様相を呈しています。当研究室でも、多くの研究プロジェクトで活用しています。しかし、必須とは考えていません。実際、次世代シークエンサーを全く(またはほとんど)利用しない研究にも取り組んでいます(例:Fukushima et al., 2021; Fukushima et al., 2015)。

研究室で取り扱える生物は植物だけですか?

福島が食虫植物をおもな研究対象にしていますので、やはり植物を研究する方が設備面での融通は利くと思いますし、助言や判断の質も高まるはずです。ただし、候補者が研究目的と実現可能性を論理的に説明可能で、その生物の維持管理に十分な経験または熱意を有する場合は、植物以外の生物種を扱う研究テーマを受け入れることも可能です。例えば、当研究室で得意とする実験技術やバイオインフォマティクス手法を、持ち込まれた生物に適用するような研究案は考慮しやすいでしょう。

研究室名を決める際、”植物”進化研究室とすることで門戸を狭めやしないかとずいぶん逡巡しました。結局、「植物を主戦場とするのは間違いないし、そう銘打っておきながら枠からはみ出すくらいの方がクールでしょ」と思い直してそう名付けています。実際のところ、福島自身が動物のゲノム解析で論文を書くこともあります(Fukushima & Pollock, 2020; Fukushima & Pollock, 2023)。

生体を扱わない研究テーマの設定も可能ですか?

ゲノム配列解析法の開発など、実際の生物を扱わない研究テーマについての助言・指導が可能です。ただし、扱うデータがどのように取得されたものかを知っておかないと、技術的なバイアスを生物学的なシグナルだと見誤ることになるので、生物や実験手法への理解は欠かせません。

英語は読み書きだけでなく話せないとダメですか?

研究活動の様々な場面で英語での発表と議論が必要になりますので、英語はできればできるほどよいですが、高度な流暢さは求めません。福島もネイティブのようには話せません。自分の要求を相手に伝えられる水準に達していれば、普段の研究活動に大きな支障はないはずです。英語が苦手でも、義務教育からの積み重ねがあれば基礎的な語彙は身についているはずですから、あとは「下手な英語」を話す度胸とリスニングの慣れが必要になります。

研究室の成果として何を重視しますか?

科学を前進させることです。より具体的には、論文発表と人材輩出を通してそれを達成します。論文発表は、科学を前進させる報告であるだけでなく、著者(特に筆頭著者)となるラボメンバーに科学的手続きを実践できる能力が備わっていることの傍証にもなります。

大学院生やポスドクには何を期待しますか?

研究環境をうまく活用し、自身の成長と研究成果を最大化して、最終的には”dream job”を勝ち取って巣立っていくことを期待しています。具体的には、プロジェクト開始時の曖昧な状況を整理し、試行錯誤しながら継続的に課題へ取り組み、経過を報告しながら目標へと到達できる人材になってほしいと考えています。そして、巣立った先で、それが公的機関・営利企業・その他どこであっても、業務遂行においてその課題解決能力を応用してほしいと考えています。

より短期的な日々の働き方には様々なスタイルがありうると思いますが、「誠実で信頼できる人物」の道からは外れないようにしてほしいと思っています。 たとえば以下のような点がおろそかにしないでほしい項目です。

パートナーも一緒にポジションを探しています。

同時期に募集されるポジション等についてご紹介できるかもしれません。お気軽にご相談ください。